Miki
アサーションスキル
自分の性格のいちばん良い部分を褒めたたえてみましょう。 どんなところが、自分のいちばん誇りとする点ですか。
自分のあたたかさですか。
心の美しさですか。
いざというときの力強さですか。
忍耐力ですか。
はっきり自分を主張できることですか。
やさしさですか。
人生を楽しめることですか。
人間関係を大切にできる点ですか。
リーダー力があることですか。
組織力があることですか。
静かさですか。
謙虚さですか。
美しい微笑みですか。
理解力があることですか。
ものごとを冷静に考えることができる点ですか。
想像力があることですか。
創造性に富んでいることですか。
新しいことを取り入れる力があることですか。
変化を恐れないことですか。 どんなことでもいいので、今日は自分のいちばん良いと思われる点のお祝いをしましょう。

▶︎ 良いも悪いも活かしかた次第!?
自分の「いいところ」を知った上で、対人関係を構築することはとてもいい関係を築けるコツでもあります。
しかし、何事も表裏一体で常に「いい部分」だけが評価されるわけでもなく、「悪い部分」が表立ってしまうこともあります。
それは受け取る側にいる人の感性であったり、その場の状況や雰囲気でも変わってくるでしょう。
例えば、物静かで何事にも受容的で協調性の高い“長女タイプ”の人がいたとします。
普段は、みんなから親しまれていて何も問題はないのですが、いざ職場のミーティングなどで自身の考えを求められたときに、曖昧にしてしまう癖が抜けず自信を失ってしまう。
このように状況が変われば、長所が盲点となってしまうこともしばしばあるものです。
そこで、長所は伸ばしつつも盲点となってしまう場合を想定して、これまでにも何度かご紹介しました、「アサーションスキル」をもう少し詳しくご紹介したいと思います。
▶︎ アサーションスキル
アサーションとは、「自分も相手も大切にしようとする自己表現」のことです。
それは、自分の意見や考え、気持ち、欲求などを正直に、率直にその場にふさわしい方法で述べることであったり、同時に、相手が同じように「表現すること」を“待つ態度”でもあります。
つまりアサーションとは、自分の感じていることや気持ちや考えていることなどを、自分も相手も共に大切にする関係の中で誠実に率直に伝えていくことであり、相互の関係性を大切にした「自他尊重のコミュニケーション」のことです。
アサーションの発祥はアメリカで、1950年代に行動療法と呼ばれる心理療法の中から生まれましたが、現在ではビジネス業界などでも「アサーショントレーニング」が教育として取り組まれているものです。
<3つの自己表現>
人間関係の対人行動は大きく3つの自己表現のタイプに分けられます。
アグレッシブ(攻撃的)な自己表現:自分だけのことを考え、相手を無視して自分を押し通す自己表現
ノンアグレッシブ(非主張的)な自己表現:いつも自分を抑えて相手を優先し、泣き寝入りする自己表現
アサーティブ(黄金比的)な自己表現:自分を大切にするとともに、相手のことも配慮する自己表現
もちろん身につける必要があるのは「アサーティブな自己表現」ですが、ひとつひとつを詳しくみていきましょう。
1、アグレッシブ(攻撃的)「私はO K、 あなたはO K ではない」
・相手の気持ちを考慮せず、自分のことだけを考える自己表現。
・聞く耳(態度も含まれる)を持たず自己中心的。
・「非主張的」が溜まり限界を超えると「攻撃的」になることがある。
・自分のことは大切にするが、相手には否定的である。 ・自分の意向は通っても、押し付けがましさがあり、後味が悪いことが多くなる。
・自分の考えが一番と思い、相手を支配したり、バカにされた気持ちになることもある。
2、ノンアサーティブ(非主張的)「私はO K ではない、あなたはO K 」
・自分よりも相手を優先し、自分のことを後回しにする。
・自分の気持ち、意見、考えを抑えて素直に自己表現できない。
・自分の気持ちに正直でなく、相手に対しても率直でない。
・自己否定的な気持ちや自身のなさが根底にある。
・相手に対して、恩着せがましい気持ちや、恨みがましい気持ちが残ってします。
・その場をおさめるには好都合かもしれないが、自己表現できない。
・もめ事や葛藤を避けていこうとすると「非主張的」になりがち。
3、アサーティブ(黄金比的)「私もOK、あなたもOK」
・自分のことをまず考えるが、相手の気持ちにも十分考慮する自己表現。
・自分、相手共に気持ち、考えを大切にする。
・自分の考えと相手の考えが違っても互いに歩みよって解決していこうという姿勢である。
・自分の気持ち、考え、意見などが正直に率直にその場にふさわしく表現される。
・自他共に肯定している。
まずはご自身がこれらのうち、どのタイプに近いのか把握しておきましょう。
次の質問に当てはまる場合は○、当てはまらない場合は×で答えてください。
A項目 ① 人前で弱さをさらけだすのが苦手である(○・×) ② 人の悪いところを指摘することがよくある(○・×) ③ 自分の思い通りにならないとイライラしてしまう(○・×) ④ 他人のミスについつい厳しくなってしまう(○・×)
B項目 ① 引っ込み思案なところがある(○・×) ② 自分に自信がない(○・×) ③ 相手の意見に合わせて行動するところがある(○・×) ④ 相手に認められたいと期待することがある(○・×) ⑤ 相手に反論されると言い返せなくなる(○・×)
C項目 ① 他人に正直な気持ちを打ち明けることができる(○・×) ② 常に積極的に行動することができる(○・×) ③ 人が多い場でも自己主張ができる(○・×) ④ 苦手な人との会話も柔軟にこなせる(○・×) ⑤ 相手に非難されても、自分を卑下せず、さらに相手の意見も尊重できる(○・×)
さて皆さんは○がいくつありましたか?
結果 A項目の○が一番多かった人→ 攻撃的タイプ B項目が○が一番多かった人→ 非主張的タイプ C項目が○が一番多かった人→ アサーティブタイプ
** アサーティブになれるポイント **
アサーションには、基本的なこころの持ちかたとして4つの柱があります。
アサーション4つの柱
率直…自分の意見や気持ちを伝えるときは、率直に伝える
誠実…自分にも相手にも誠実であること
対等…自分も相手も人として対等であるとして尊重する。たとえ上下の関係であっても、相手をひとりの人間として大切にする
自己責任…自分の意見や考え、行動の結果を自分で引き受ける
アサーションを活用したコミュニケーションを図るときに、この4つの柱を頭に入れておくことで、さらに人間関係がよくなります。・・・逆に言えば、これらの柱のないアサーションはうまくいきません。
もし人間関係がうまくいっていないのであれば、これらのどれかが欠けている可能性があります。そのため、現在、特定の人と人間関係がうまくいっていないのであれば、この柱を見直す必要があるので、詳細をみていきましょう!
1、自分の正直な気持ちを大切にし、ごまかしたり否定したりしない
「自分の正直な気持ち」を修正しないことは、その気持ちに誠実であるということです。
誠実とは、自分にも他者にも、嘘をつかないことが基本です。
自分に嘘をつかないとは、自分の心の声に耳を傾けることが原点となるでしょう。
そこには、「相手や周囲のひとがどう思うか」ではなく、自分がどう感じているか、自分がどうしたいのかで判断する態度が求められます。
心にもない態度は、誠実さから脱線していて、他者との対等さも失ってしまいます。
私たちは、自分の気持ちをよく知っているくせに、「自分ことがよく分らない」としばしば表現してしまうことがあります。
自分の気持ちを知る力は、自分を偽らないで相手に接するということで、それは相手に対しても誠実に接することにつながっていくものです。
2.自分も相手も対等な関係であることをしっかりおさえておく
対等とは、自分も相手も大切に、人権尊重の精神を反映した態度、行動のことです。
言いやすい人にだけ言うようなすることをせずに、誰に対しても、分け隔てなく、どんな場面でも、態度を変えず、同じように接することです。
相手と向き合うときには、自分も相手も尊重する。誰に対しても、分け隔てなく、どんな場面でも、態度を変えず、同じように接する。それが対等ということを意味します。
3.伝えたいことを屈折させずに表現する
率直さを理解するキーワードは「自分も相手も大切にする」ことです。
正確には 「自分の感情だけでなく、相手の感情も大切にして、そのために自分がどんな行動をとればいいのか、その最適を見いだし行動する」ことです。
人に自分の気持ちや要求を伝えるときには、どなったり、弁解したり、遠回しに言ったりしないで、率直に表現することが大切ということになります。
4.表現したことについて、自分を責めたり不愉快になったりしない
自分の気持ちや要求を表現した結果、自分が望んでいない反応を相手が返す場合もあり得ますよね。
でも、相手がどう受け取りどう反応するかは、相手の領域なのです。
その反応によって、表現をした自分を責めたり、不愉快になったりしないことは、とても大切なことになります。

▶︎ I Message
I(アイ)メッセージとは、「わたしは~と思います」のように、「わたし」という1人称を主語にして、自分の意見や気持ちを伝えることです。
たとえば、「早くしなさい!」は、Iメッセージではありません。
これをIメッセージに変えると「わたしは、もう少し急いでもらえるとうれしいな」となります。
わたしたちは、相手と会話しているときに、自分が感じたネガティブな気持ちを相手のせいにしたり、相手を思いどおりに動かそうとして、自分のネガティブな気持ちを押しつけてしまったりすることがあります。
Iメッセージで伝えることによって、それを避けることができるのです。
【Iメッセージの例】
それは間違っているよ! → 私の考えは、あなたの考えと違うようです。
その言い方じゃわからないよ! → 私はもう少しわかりやすく伝えてもらいたいです。
そんな言われても、ムリだよ! → そう言われると、わたしはかなしいな。
【Iメッセージのメリット】
私が感じたことを表現しているので、相手を責めるような印象を避けることができる。
話していくうちに、だんだん自分の意見や気持ちがわかってくる。
私個人の意見や気持ちに責任を取ることができる。
練習問題―Iメッセージを使ってみよう!
次の言葉をIメッセージで返してみましょう。
例題 「あなたはいつも自分勝手で仕事も非協力的だ」 →「もう少し、仕事を手伝ってもらえると私は嬉しい。」
実際にみなさんも考えてみましょう!
① 「何度言ったら、あなたはわかってくれるの?」 →「I」メッセージ
② 「あなたはいつも遅刻ばかり。」 →「I」メッセージ
さて、どうでしょうか。
回答例としては・・・ ① 「何度言ったらわかってくれるの?」 →「これは大事なことだから、あなたが覚えてくれると私は助かるよ。」
② 「あなたはいつも遅刻ばかりね。」 →「私はあなたと会うのを楽しみにしてたから、ちょっと寂しい気持ちになったわ。」
これはあくまで例です。Iメッセージを使うときはぜひ、参考にしてみて下さい。
▶︎ 感情の矛盾が人を苦しめる!
人間はどんな感情も持つ権利があります。
そして、その感情をもつことは自然なことです。
それでも「つらい気持ちに気付きたくない」「マイナスな感情を自覚してしまうと 余計に落ち込んでしまいそう」
こんな風にネガティブな感情に気付くのは怖いし、気持ちのいいものではないですよね。
もしかしたら、ここで無理にポジティブに考えて、明るく振る舞うこともあるかもしれません。
でも、そうやって自分の気持ちをごまかしていると、本当の自分の感情と矛盾を抱えてしまって、ますますツラくなってしまうことがあります。
内心はモヤモヤしている
例えば遅刻癖のある友人が30分待ち合わせに遅刻してきたとき相手が「ごめんね。待った?」と謝ってきました。
このとき あなたはどのように返すでしょうか。
「大丈夫だよ。そのへんで ブラブラ時間つぶしてたから。」
「私も今来たところだよ。」と笑顔でフォローしますか?
でも、表面的では気にしてないように笑っていても、心の中ではどう感じていますか。
「いつも待たされてばかりで、自分との約束をないがしろにされているような気がして悲しい…」
「こっちの都合を考えずに遅刻するなんて、なんて自分勝手な奴なんだ!」 と怒ったり、イライラしたり、悲しかったり、内心モヤモヤしていないでしょうか?
適度に表現することが大事!
このように本当の自分の気持ちを隠していると次第に自分の気持ちがわからなくなります。
このようなことを繰り返していると腹痛や頭痛など体に不調が出てきたり、重度の場合は朝ベッドから起きれない状態になってしまうことがあります。
人間は心と体がつながっています。
自分の心をごまかせたとしても人間の体はごまかせません。
まず皆さんに理解して欲しいのは「ネガティブな感情」は誰にでもあり、自然な感情だということ。そしてネガティブな感情は我慢するのではなく、適切に表現することが大切だといことです。
次は、自分の感情を理解して 適切に表現する方法を練習しましょう。
練習問題 「遅刻癖のある友達がいます。あなたは、その友人と 旅行へ行くことになりました。しかし当日、その友人は 1時間遅刻してきました。待ち合わせ場所に現れた友人は 「ごめんね~」と謝っています。」
では、以下の①~③について考えてみましょう!
① あなたなら相手にどのように返しますか? →
② このとき、あなたの心の中はどう感じていますか?また、行動と矛盾している点はありますか? →
③ 自分の心と一致する行動を考えてみましょう。 →
解答例
① あなたなら相手にどのように返しますか? →「ううん、大丈夫だよ」、「じゃぁ、行こうか♪」「・・・あぁ、気にしてないよ。」
② このとき、あなたの心の中はどう感じていますか?また、行動と矛盾している点はありますか? →約束をないがしろにされているようでモヤモヤしてるが相手には笑顔で接して矛盾している。
③ 自分の心と一致する行動を考えてみましょう。 →寂しそうに「私は約束を大切にされていないようで悲しかったよ」と伝える。
感情と行動の一致がポイント!
あなたは①と②に書いた「感情」と 「実際の行動」に矛盾はありましたか?
もし矛盾があった人は、自分の気持ちを素直に感情を表出することができず、人間関係においてストレスを感じやすくなっているかもしれません。