Miki
周産期うつ
こんにちは。Mental Office ココカラのカウンセラーMikiです。
今日はタイトルの通り、周産期うつについて考えたいと思います。
“周産期うつ”というと、「マタニティブルー」だとか「産後うつ」といった言葉が思い浮かぶ方もいるかも知れません。
以前は「産褥期うつ」として産後に現れやすい「うつ病」の亜型として、取り扱われていましたが、現在では産前の抑うつも含めて「周産期うつ」と呼ばれています。

それでは、マタニティブルー と産後うつには、どのような違いがあるのでしょうか。
▶︎ マタニティブルー
妊娠して赤ちゃんが出来た。
嬉しいはずなのに、なぜか気分が落ち込んでしまったり、漠然と悲しい気持ちに襲われてしまったりすることがあります。
「マタニティブルー」と呼ばれるこの現象は、多くのママさんが経験すると言われています。とても辛い時期かとは思いますが、一過性のものであることがほとんどです。
・マタニティブルーとは?どんな症状が見られる?
マタニティブルーは妊娠中や出産後の女性に起きる、漠然と悲しい気持ちになったり涙が出たり不安で眠れなくなったりといった情緒不安の総称です。
こういった症状は1~2週間続き、時間とともに自然と治ります。程度の差は人それぞれですが、マタニティブルーを経験する女性はとても多いといわれています。
・マタニティブルーの原因
赤ちゃんができたり、赤ちゃんが無事に生まれて嬉しいものの、それ以上に育児へのプレッシャーや不安を強く感じる人は少なくありません。
くわえて出産疲れや慣れない育児による睡眠不足などで、ママさんは疲労がたまりがち。このような精神的なストレスや疲労がマタニティブルーの要因だと考えられています。 また、出産後はホルモンバランスが急激に変化します。これもまた、マタニティブルーの原因だと言われています。
・マタニティブルーの対処法
マタニティブルーは、妊娠中だけでなく産後のママさんの多くに見られる症状です。1~2週間で抜けられることがほとんど。一過性のものと考えられるので、焦らずにゆっくりと心身と体調を整えましょう。
焦ったり、自分を非難する必要はまったくありません。
最初からなんでも完璧にこなせるママさんはいません。完璧である必要がありません。
完璧主義にならず、周囲の人を頼りながらひとつひとつ慣れていけば大丈夫です。
▶︎ 産後うつ
気分の落ち込みや不安などのマタニティブルーが2週間以上継続してしまっている状態であり、うつ病の亜型(一種)とされます。
産後のうつ病は、ママさんの日常生活への影響だけではなく、赤ちゃんへのお世話や成長にも影響します。
またそういう点で、ママさんと赤ちゃんの2人の命が関わってしまう非常に重要な疾患です。それは、“出産疲れ”だとか、“新しい家族が増えた環境の変化“と表現で片付けられる状況とは、大きく異なるという点で非常に注意が必要です。
また、産後うつ病の罹患率は15%と言われており、決して少なくありません。
妊産婦の死亡原因も、出産に伴う死亡数よりも、産後うつに関連した死亡数の方が高いとの報告もあります。
現在は、産後の検診の回数を増やしたり、産後うつに関する問診やチェック項目の追加等、公的機関や医療機関でも十分に産後うつに配慮した取り組みを行われているかと思います。それだけ、産後うつに関する知識や理解は本人だけではなく、家族や周囲の人たちにも求められているのです。
産後うつの症状
気分が落ち込んでやる気が出ない
気分の浮き沈みが激しく、ちょっとしたことでキレてしまったり、泣いてしまったりする
眠る時間を確保してもなかなか眠れない、夜中に目が覚めてしまう
食欲がわかない、あるいはついつい食べ過ぎて気持ちを紛らわせようとしてしまう
ずっと疲れていてダルい
いつもできていた家事が、手につかないくらい体が思う様に動かない
赤ちゃんのことを可愛いと思えない
ついつい、赤ちゃんに対して手を出したくなってしまう
赤ちゃんが大きな病気になったのではないかと心配になる
赤ちゃんが誰かに取られたり、傷つけられたりしたらどうしようととても不安
自分はダメな母親と責めたり、もっといい母親にならなくてはいけないのに、自分はなれないと自信を失くしてしまう
周囲との会話や関りがとても煩わしく感じてしまう
産後うつは、子育てに慣れたら改善するのでは…と、思われていますが
それも間違っています!
産後うつは、赤ちゃんの成長に大きく関わってきますし、何よりも、うつ病と同様に死亡原因となりかねない疾患です。
大切なお子様と、大切なママさんの不調を少しでも早く改善するためには、もし上述の症状に当てはまる部分があれば、メンタル系専門機関への受診もしくは相談をオススメします。
「育児は女性の仕事」という風潮はいまだに強く、日中はずっと赤ちゃんと2人きりというママさんも多いのでは?
そのような環境の中で、赤ちゃんをかわいいと思えない、辛くて育児がしんどいといった感情は、どんどんと膨らみやすくなってしまう事も十分に考えられます。
またその一方で、赤ちゃんにとっても、お世話を受けないと生きていけないといった状況が、いっそう二人の関係を閉鎖的にしてしまう事もあり、社会との疎外感や孤独といった感情をママは強く感じてしまいがちです。
産後うつの原因
① 出産に伴うホルモンバランスの乱れ
女性には、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類が分泌されていますが、妊娠中は卵胞ホルモンの分泌が止まるため黄体ホルモンの割合が増えます。
黄体ホルモンは、子宮内を安定させる大切な役割を持ちますが、増加するとイライラや気分の落ちこみを引き起こしてしまうホルモンでもあります。そのため、周産期うつに見られる不安定さは妊娠初期と後期に顕著になることが多いのです。
赤ちゃんがおなかからいなくなると、卵胞ホルモンの分泌が再び始まるため、ホルモンバランスの急激な変化として、産後もしばらく不安定な症状が続く…と考えられています。
② 慢性的な睡眠不足と疲労
生後3か月ぐらいまでは2~3時間周期ごとに授乳しなければなりません。またその間でさえ、休息をとる時間になかなか当てられないことも多いです。
そのため、ママさんは細切れでしか睡眠時間と休息時間を確保できません。
肉体的な疲労は更に精神的な不調を増幅させやすく、心身共に疲れ切ってしまい、産後うつになってしまいやすくなると考えられるのです。
③ 「ママ」としての様々なストレス
出産を機に、それまでの自分とは違う「ママ」というアイデンティティに慣れるには、様々な問題と向き合う必要があります。また、どの月齢・年齢の子どもであっても、育児ストレスは大きいものです。これは、初めてママになる人であっても、2人目の子どものママになる人であっても、心境の変化や感じるストレスの存在には変わりありません。
④ 周囲からのストレスも大きく感じてしまう事も
出産後の赤ちゃんはとても繊細です。日々のお世話を通してママさんは、赤ちゃんに対して一生懸命になります。
そんななか、ペースを乱される行動や配慮ない言動など、普段以上に敏感にとらえて、ストレスを感じ、傷つき心を閉ざしてしまう事もあるようです。
時として、父親や親せき等、ママさんに身近な存在であっても、この時期にはつらく感じてしまう事があります。
上記以外に私個人の見解として、自宅で赤ちゃんと2人きりで過ごしていると、大人と話すこともない日々が続きます。
夫との会話も、赤ちゃんの寝かしつけなどで生活もすれ違いになって、会話自体がほとんどなくなると社会的な隔離を受けているような、閉鎖的で孤立したような「孤独感」が大きく影響しているのではないかと思っています。
ママさんがこの時期・この状況の中で、夫が「飲み会で遅くなる」なんて言おうものなら、誰でも「イーーッ‼️💢」と、なりますよ。それは普通の反応だと思います。
変に気遣いせず「私だって…」と主張して、我慢し続けていることをパパさんに知らせてください。パパさんは、分かっていないだけですから…。

▶︎ マタニティブルーの解消法
Mental Office ココカラでは、周産期うつに対するカウンセリングも行っていますが、ここでは身近にできる対策や予防法などをご紹介したいと思います。
誰かに相談する
周産期では、ひとり、もしくは赤ちゃんとの2人で過ごす時間が多くなるので、もともと社交的だった人ほど、強く孤独感を感じるものです。
一番大切なのはひとりで抱えこまず、電話でもいいので家族や親しい友人に話を聞いてもらうことです。もちろん、夫とも毎日コミュニケーションを取る時間をつくる工夫は必要でしょう。 話をするときに、あらかじめ「自分はいまマタニティブルーで不安定になっているかも知れないから、話を聞いてもらえたら助かる」と素直に伝えましょう。
いきなり不安やネガティブな内容ばかりを話すと相手もびっくりしてしまいますが、説明をしておくことでゆっくり話を聞いてもらえるメリットが生まれますよ!
家事は最大限「ラク」な方法で!
ただでさえ、周産期(妊娠〜出産後)は疲れやすいもの。
そこにマタニティブルーが重なると、動くのも億劫ですよね。
家事を少しでもラクにできるよう、下記のような工夫はいかがでしょうか。
普通のお米ではなく、無洗米にする。
おかずは冷凍食品を活用したり、オーブンで焼くだけのレシピを増やしたりする。
ネットスーパーを利用する。
洗濯洗剤はジェルボールタイプを使う。
便器にスタンプするタイプのトイレ洗剤を使う。
コードレスで、スタンドタイプの軽量掃除機を使う。
適度な運動をする
ストレッチや軽いウォーキング、マタニティビクス、ヨガなどを取り入れた運動は、気分転換と体重増加予防にも効果的で一石二鳥です。くれぐれも無理をしないよう主治医と相談しておこないましょうね。
産後の方では、赤ちゃんを連れて散歩に出てみるのも良いと思います。ただし、今はコロナの影響もあるので3密を避け、熱中症対策などをしっかり整えましょう。
コロナを恐れ過ぎて、自閉的な生活をされている方もいらっしゃるかも知れませんが、3密を避けて、感染予防策をしっかり守れば問題ありませんので、赤ちゃんのためにも日光浴は行いましょう。
妊娠・育児をテーマにしたマンガやエッセイを読む
近頃では、マタニティ&育児マンガにブームが来ているらしい⁉️…ちょっと意外でした。
ママさん漫画家の体験をユーモラスに描かれているものが多く、いくつか読み終えたころには妊婦生活が愛おしく思えるんだとか…。 インターネット上で公開されている作品もたくさんあるようで、単行本でも1〜3話程度を出版社のサイトで試し読みでき流とのことで、お気に入りを探してみてはいかがでしょうか。
▶︎ 今、悩んでいる方へ
産後うつ病は誰にでも起きうること。
赤ちゃんへの愛情不足が原因で発症するのではありません。
周りの人だけではなくママさん自身も誤解してしまうことがありますが、赤ちゃんへの愛情不足が産後うつ病の原因となることはありえません。
逆に、産後うつ病の為に、赤ちゃんへ伝える愛情が少なくなってしまったり、お世話が行き届かなくなってしまったりしてしまいます。
産後うつ病の病状のせいで、日常生活や赤ちゃんへの成育へも影響をしてしまうのです。
赤ちゃんが生まれて、新しい家族との生活も始まった矢先。望んで生んだ赤ちゃんなのに、なぜか辛く感じたり、楽しいと思えない、更には赤ちゃんがかわいいと思えない、愛おしいと思えない・・・。
こんなことを考えてしまう、私は何でダメなママなんだろう。こんな思いを誰にも相談できるわけがない、辛くて毎日涙が出てしまう…。
このようなエピソードをお持ちの方や、当てはまる方は、もしかしたら産後うつの可能性があるかもしれません。ぜひ、ご相談ください。

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