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  • 執筆者の写真Miki

圧倒的な感情と闘わない

【自分が圧倒されるほどの大きな感情】

これまでにネガティブな感情も、やさしく認めて受け止めていく…という話を書きました。


しかし、そうはいっても、時折、私たちには、自分が圧倒されるほど、大きな感情が襲ってくることがあります。


やさしく目を向けられないような、圧倒的な感情・感覚が襲ってきたら!?

圧倒的な感情は、思春期の暴れん坊のよう。


ちいさな子どもが泣いているぐらいだったら、やさしく声をかける(=認める)ことは、比較的実践しやすいかもしれません。


でも、暴れているのが、思春期の子どもだったら!?


身体は大人ほど大きくて、力が強くて、壁にパンチして穴をあけたり、キックされそう!?


とても近づいて、声をかけたり、抱っこしたりなんて、出来そうもありませんよね。



【距離を取る】

そんな時は、まず、その感情・感覚を安全に感じられるよう、距離を取りましょう。


ストレスの発信源から早急に離脱し、安全な場所に身を置きましょう。

例え、その行動が後々に叱られるとしても、安全を最優先しましょう。


お腹に手を添えて、深呼吸をして、自分の内側にスペースを作ってあげます。


四拍子の音楽に合わせると分かりやすいです。曲は何でもいいんですが…


懐かしいクマムシの「あったかいんだからぁ♪」を例にすると


特別なスープを(1.2.3.4)・・・吸う

あなたに(2.2.3.4)  ・・・吐く

あげる~(3.2.3.4) ・・・吸う

あったかいんだからぁ(4.2.3.4) ・・・吐く


これを繰り返す。

その時ヘソの下に当てた手のひらで肚を感じ、お腹が膨らんだり引っ込んだりする様子を感じながら行う。


やってみると分かりますが、暴れ出しそうな感情をずいぶん遠くに感じれるほど、距離を取ることができます。




▶︎ 圧倒される感情


上述の内容だけでも対処できるようになる人は多いでしょう。


しかし、人によっては他の人に比べて感情的・身体的苦痛をより強烈に感じたり、より頻繁に起きることがあります。


感情的苦痛と身体的苦痛は、しばしば同時に起こり、決して終わることがないように感じられるものです。これを「圧倒されるような感情」と呼びます。


繰り返し起きる「圧倒される感情」によって苦悩している人々は、不健康的なやり方で対処することが多いことが分かっています。


それは、「どうしていいか分からないから」で、結果は問題を悪化させるだけの対処行動になってしまいがちです。



▶︎ あなたの対処行動パターンをチェックしてみましょう。

  • 過去の苦痛、過ち、問題について考えて過ごす。

  • 将来起こりうる苦痛、過ち、問題について心配して不安になる。

  • 苦痛を避けるため、人から距離をおいて孤立する。

  • アルコールや薬物などで、自分を無感覚にする。

  • 他人に対して過度に怒ったり、コントロールして八つ当たりする。

  • 体の一部を切る、頭や体を壁などに打ちつける、 皮膚を掻きむしったり、焼いたりする、抜毛など危険な行為をする。

  • 無謀・危険なセックスをする。

  • 虐待や良くない人間関係などの、問題の原因に向き合うのを避ける。

  • 拒食、過食、嘔吐などで自分を罰する。

  • 自分をコントロールするために食べ物を用いる。

  • 自殺企図や無謀運転、危険なアルコール・薬物摂取など危険な行為をする。

  • 自分は楽しんではいけないと思い、イベントなどの楽しみを避ける。

  • 苦痛に屈し、諦めて、惨めで満たされない生活を送る


ー いくつ該当しましたか?

上記のチェックリストにある全ての対処法は、一時的には安堵感をもたらしても、将来的にはより多くの苦しみを引き起こすだけの逆効果的な対処方法です。



▶︎ 苦悩耐性スキルを学ぶ


痛みは避けられないこともありますが、苦しみを避けることは案外可能です。


例)友達同士の口論

不快な口論が記憶の中で繰り返し再生される。

ひとつひとつの言葉が侮辱として思い出され、生活をより苦しいものに。

誰もが経験したことがある事例で、「グルグル思考」の典型パターンです。


大切なポイントとして、コントロールするのは苦痛に対する「苦悩」です。


何をすべきかというと、“長期的な苦悩に陥るパターンを避けること”。 

→ すなわち「苦悩耐性スキル」を身につけることです。


より健康的なやり方で耐え、対処していこうというものです。


Mental Office ココカラでは、このような事例に対して「注意をそらして、リラックスし、対処する」ことを教えています。


▶︎ 「注意をそらすスキル」


前述した避難して四拍子のリズムに合わせた深呼吸に該当します。


感情は時として熱すぎる恐れもあるため、直面するには自分の気持ちを落ち着かせる必要があります。


圧倒されるような感情を持つ多くの人は、子供のときに虐待体験など大変つらい思いをしてきていることが多いようです。


結果的に、自分自身を傷つける方法を身に付けさせられた被害者です。


自分自身を優しく、愛情を込めて扱う方法を学ぶことを目標に実践してもらうと、自分自身に思いやりを持って接することを、手助けとなる利点も出てきます。


重要POINT

(1) 苦痛について考えることを 一時的に止めてくれる

(2) 適切な対処法を見つける 時間を与えてくれる


注意をそらすことは、感情を「落ち着かせる時間」を与えてくれます。

※「注意をそらすこと」と、「回避すること」を混同しない!

 回避するというのは、それに一切対処しないこと。 

 注意をそらすというのは、感情が鎮まったら対処するということ。



▶︎ 徹底的受容


「苦悩耐性を付ける」ということは 苦痛に対する態度を変えることであり、苦痛に対して抗い続けるのではなく徹底的に受容していくことが肝要です。


人は苦痛なとき、苦痛の原因に対して気分を害したり誰かを批判したりするものです。


しかし、誰のせいにしようと、苦痛はそこにあり、苦しみは続きます。


怒ったり気分を害するのは、現実に起きていることを理解するのを妨げ、「怒りによって盲目になる」(混同)ことばかりが続くので、一向に改善している実感が湧きません。


過度に自分や他人、あるいは環境など社会的要因に対して批判的になると、全てのことをありのままに見られなくなります。

それは、現実として対処しなければならないことを見落としてしまう。ということです。


徹底的受容は、その出来事を価値判断したり、自分自身を批判することなく、現在の状況を認めてひたすらに受け入れることです。


現状は、ずっと前に始まった出来事の長期的連鎖を経て存在すると認識しましょう。

徹底的受容は、自分自身とその状況を見つめ、あるがままに理解することです。

他人の悪い行動を容認したり、それに同意するという意味ではありません。


すでに起きたことを「変えようとする」のをやめる、ということです。

自分や相手を非難して時間を無駄にし、苦しみ続けないこと。

そうすることによって、苦痛に対処するより良い方法を見つけることができます。


※ストレスそのものを丸呑みするような手法ですので、心配な方は「こころの専門家」と一緒に実践されることをオススメします。


▶︎ 徹底的受容のための言葉


徹底的受容を実践するにあたって、効果が期待できる「魔法の言葉」たちを紹介します。


使ってみようと思うものに チェックを付けてみましょう。

その後、その他のアイディア欄を考えてみましょう。


□ 「これはこれでよかったのだ」

□ 「ま、いっか」

□ 「全ての出来事が 現在に繋がってきている」

□ 「すでに起こったことを 変えることはできない」

□ 「過去と戦っても無駄だ」

□ 「過去と戦うことは、 現在を見えなくするだけだ」

□ 「コントロール可能な瞬間は 現在のみだ」

□ 「すでに起きたことと戦うのは 時間の無駄だ」

□ 「たとえ 起きていることが気に入らなくても、 今のこの瞬間は確かなものだ」

□ 「その前に起きたことを考えると、 この瞬間は正に あるべくしてある」

□ 「いまこの瞬間は、 様々な決断の結果だ」

□ その他のアイデア ⇨____________________




▶︎ STOP!自傷行為


自傷行為を繰り返している人の中には、自傷行為が苦痛を一時的に和らげてくれると言う人もいます…が、デメリットを考慮し、傷を癒すことを最優先に考えます。


また、常用している方は特に、自分を傷つけることで脳内のエンドルフィン(鎮痛物質)が放出され、エンドルフィンによる快感の中毒になっている…のかもしれません。


実際に私が臨床でおこなってきた支援方法

「自分を傷つけるような行動から注意をそらすアイディア集」を紹介しますので、自分にあったものを見つけましょう!


  1. 氷の塊を握りしめる。

  2. 身体を切る代わりに、赤のマジックでマーカーを描く。その後で、黒のマジックで縫い目を描く。

  3. 腕にはめた輪ゴムをはじく。…痛いですが、消えない傷になることはないでしょう。

  4. 皮膚を突き破らない程度に、腕に爪を立てる。

  5. 風船に憎んでいる人の顔を描いて、それを割る。

  6. あなたを傷つけた人に手紙を書く。彼らがしたことや、なぜ彼らを憎んでいるかを書く。その手紙は出さずに捨てるか、後で読むために保管する。

  7. スポンジや枕を強く壁に投げつける。

  8. 枕に顔を伏せて、大きな声で叫ぶ。

  9. スポンジやタオルの人形に針を刺す。

  10. 泣く。泣くことは、ストレスホルモンを放出し気分をよくしてくれます。

その他のアイデア ⇨______________


1つ1つ実践するのもいいですし、1と2を同時にやってみるなど、レパートリーを増やすアイディアが大切です。


このアイディア集は、実践して高い評価を得たものです。

バカらしいと思ってもやってみる価値は、十分にあります。



▶︎ 楽しいことをする


最後は、楽しい活動についてです。


楽しい活動は、苦痛から注意をそらすのにベストです。定期的に行うことも有効です。


運動も重要で、身体の健康やうつ病にも有効です。

運動するとエンドルフィン(鎮痛物質)が脳から放出され、よい気分がもたらされます。


あなたは、どれだけの楽しみを持っていますか。


※以下、楽しい活動のリスト やってみようと思うものにチェックを付け、その後で、考えつく健康的な活動を書き足してみよう!


□ 電話で友人と話す   

□ 外出して友人を訪ねる □ 友人を家に招く    

□ 友人にメールする □ パーティーを企画する  

□ 運動をする □ ヨガや太極拳などをする  

□ ストレッチをする □ 公園や、静かな所を散歩する  

□ ジョギングをする □ 自転車に乗る   

□ 泳ぎに行く

□ 行楽地でゲームに参加したり、見たりする 

□ 一人でできるスポーツをする □ マッサージを受ける 

□ とにかく外に出る

□ 車や交通機関に乗る  

□ 旅の計画をする □ 眠る,少し昼寝をする   

□ 好きなものを食べる □ 好きな料理や新しい料理を作る   

□ 外食に出る □ 友人にペットを借りて公園へ行く  

□ 外でペットと遊ぶ  

□ 外で鳥や動物を観る

□ 面白い映画を観る □ テレビを観る 

□ スポーツイベントに行く □ ゲームをする

□ 難しいパズルをする

□ ネットで友人を作る 

□ ネットショッピングをする

□ 好きなウェブサイトを見たり、作ったりする   □ 「いのちの電話」などに電話し、話をする

□ 買い物に出る 

□ 散髪をする □ 温泉に行く 

□ 図書館に行く □ お気に入りのカフェに行く  

□ 美術館やギャラリーへ行く □ 祈る、瞑想する

□ 教会へ行く □ 神に手紙を書く       

□ U-Canなど生涯学習のクラスに申し込む

□ ショッピングモールや公園へ行き、人を眺める。彼らが何を考えているか想像する。

□ ずっと会っていない家族に電話する

□ 外国語を習う 

□ 編み物をしたり、習う

□ 歌う、歌を習う 

□ 楽器を弾く、楽器を習う □ 楽しい音楽を聴く   

□ 賑やかな音楽でダンスをする

□ 動画を制作する      

□ 演劇グループに参加する

□ 園芸をする

□ 海や川、釣り堀などに魚釣りに行く   

□ 戸外で仕事をする

□ ネイルデザインをする   

□ 髪の色を変える

□ 入浴、シャワーを浴びる。シャンプーを変える 

□ 車や自転車の整備をする

□ 好きな本や雑誌を読む    

□ くだらないゴシップ誌を読む

□ 友人や家族に手紙を書く   

□ 日記を書く

□ 自分の好きなところを、自分の写真に書き込む

□ 自分や人の人生について、詩や物語を書く 

□ 自分自身へのラブレターを書き、取っておく 

□ 自分の得意なこと、自分の好きなところBest10をつくる

□ 筆や指で絵を描く        

□ ソロキャンプ・デビューしてみる

□ キャンプ飯を家で作り、食べてみる

□ 尊敬する人のリストを作り、称賛するところを説明する

□ 死ぬ前にしたい 10のことのリストを作る  

□ 今まで起きた面白いことや、セクシーなことの物語を書く

□ 友人になりたい有名人10人のリストを作り、その理由を説明する  

□ 自分の人生をよいものにしてくれた人に手紙を書き、その理由を書く