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  • 執筆者の写真Miki

対人恐怖症(社交不安症)

最近、学生さんからのご相談が続いていますので、対人恐怖症についてご紹介します。


▶︎ 対人恐怖症


対人恐怖症とは、他人との交流や人前でのふるまいに強い不安や緊張を感じ、日常生活に支障が出ている状態のことです。


「対人恐怖症」は、正確な病名ではなく、以前は「社会不安障害」といったり、最近では「社交不安症」という名前で、時には『不安障害』として一括りにされているようです。


対人恐怖症(社交不安症)とは、自分が他人にどう思われているかについて不安になり、他人との交流や人前での行為などの不安が生じそうな状況を回避することにより、日常生活に支障が出ている状態のことです。


そもそも、対人恐怖症と社交不安症は、厳密にいうと次のような違いがあります。


対人恐怖症:「自分が他人を不快にさせていないか」についての不安  

社交不安症:他人に注目される場面で、恥ずかしい思いをすることへの不安


対人恐怖とは、自分から相手へ向かっているのに対し、社交不安は相手から自分へと向かっています。


それでも、現在は同じ疾患として扱われているのです。


▶︎「誰もが持つ不安」と「病的な不安」の違い


人の目が気になったり、他人の前で何らかの行為をおこなう際に緊張することは誰にでも起こります。


しかし、不安や緊張が過剰となって本人が悩み、不安や緊張が生じうる状況を回避するためにあらゆる事柄から逃げ続けると、次第に社会生活に支障が生じます。


生活への支障レベルから「誰もが持つ不安」の範疇を明らかに超えていくものと考えます。



▶︎ 対人恐怖症の症状


赤面恐怖症・・・人前に出ると緊張感が高まり、顔が赤くなる。

       その他、表情恐怖や視線恐怖などもある。


発汗恐怖症・・・緊張により発汗し、ハンカチなどを持たないと落ち着かない。


対人恐怖症・・・周囲の視線が気になり、恐怖や震え、めまいなどを感じる。

       自分に対する他人の評価に強い不安を感じる。


書痙・・・・・・・・・人前で文字を書こうとすると、緊張と不安により手が震える。


場面恐怖症・・・緊張して声が震えるなど、人前でうまく発言できない。 など


▶︎ どんな人が発症しやすいのか


はっきりと原因が分かっているわけではないですが、生育環境による影響が最も大きいと言われています。


また、トラウマのように過去に失敗した経験が発症のきっかけとなることもあるでしょう。


対人恐怖症を発症するのは思春期が多いですが、神経質な性格、怖がり、慎重な性格、内気な性格、真面目な性格の人なども発症しやすいとされます

その他にも自意識が強い人や感受性が高い人、人見知りが激しい人も発症しやすい。


・・・なんだか、大抵の日本人は当てはまりそうな「アバウト」な印象ですよね。


▶︎ 対人恐怖症の治療


対人恐怖症は、放置していても改善する可能性は低いとされています。


脳の海馬や扁桃体に記憶された緊張や失敗の記憶から「次も失敗するかもしれない」という「予期不安」が形成され、不安や緊張を感じそうな状況を回避するようになるからです。


回避行動が習慣になると、その状況に対する不安がより強くなるという悪循環に陥り安くなります。


しかし、症状を放置せずに適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できるといえます。


対人恐怖症の治療法


1.心理療法(認知行動療法)


対人恐怖症の人は、物事を否定的にとらえる傾向があります。


そこで、認知行動療法によって、不安や恐怖につながっている否定的な認知(物の考え方や受け取り方)を、事実に沿った客観的なものに修正していきます。


これまで回避してきた状況下で、回避とは異なる新たな行動パターンを学習し、定着させていくものです。


2.薬物療法


薬物が処方できるのは、医師のみです。

心療内科(クリニック)や精神科病院などの医療機関に受診する必要があります。


薬物療法で選択される薬は、概ね下記の3種類かと思われます。

詳細はかかりつけの専門医にご確認ください。


抗うつ薬(SSRI)

うつ病の治療薬であるSSRIは、社交不安症治療で多く使用される薬です。安心や鎮静の情報を神経に伝える脳内物質「セロトニン」の濃度を高めることで、不安や恐怖をおさえます。


抗不安薬

抗不安薬は脳神経に作用し、不安や緊張をやわらげる薬です。即効性がある反面、効果は一時的です。長期使用では依存性があらわれる可能性があります。

 ※ 不安を抑える目的で補助的に使用されます。


β遮断薬

β(ベータ)遮断薬とは、正式には「交感神経β受容体遮断薬」と呼ばれる薬のことで、交感神経に作用し、動悸や震えなどの身体症状をおさえる薬です。

 ※ 身体症状を抑える目的で補助的に使用されます。


3.症状を軽減するための日常生活での工夫


治療以外にも、日常生活においてチョッとした工夫を取り入れることも、対人恐怖症の症状の軽減に役立ちます。

A. 規則正しい生活

規則正しい生活は、対人恐怖症の症状改善のためにしたほうがいい基本的なことです。


対人恐怖症の人は、脳内のセロトニンの量が低下しています。セロトニンは、人間の体の生体リズムに合わせて分泌されます。


このため、十分なセロトニン分泌のためには朝に目覚め、夜に眠るという、人間本来の生体リズムに合わせて生活することが重要となります。

B. 十分な睡眠

十分な睡眠は、対人恐怖症の身体症状の軽減に役立ちます。

質のよい睡眠時は、交感神経を優位に導くアドレナリンやノルアドレナリンの分泌量が低下し、リラックス状態になります。


しかし、この働きが上手くいかないと睡眠不足の状態となります。


アドレナリンやノルアドレナリンの分泌量は上がったままで維持されるため、睡眠不足時には体が緊張状態になっており、不安を感じる場面で身体症状があらわれやすくなります。

C. 適度な運動

数多くの研究により、社交不安症を含む不安障害の改善には、適度な運動を習慣的におこなうことが効果があることがわかっています。


早足でのウォーキングや水泳などの有酸素運動の効果が期待できるとされています。



▶︎ ココカラ より一言


対人恐怖症に該当するかもしれない、日常生活が普通におくれるようになりたいと、

お考えの方は、早めにご相談ください。


学生さんの多くは、両親に伝えることで迷惑をかける…と考えますが、

家族は強い絆で結ばれた、何にも変えがたい「サポート資源」です。


「わかってほしい」と伝えるのではなく、「困っている」「助けてほしい」と素直なメッセージで伝えましょう!


理解者が乏しい方や何から手をつけたら良いかわからない方は、まず教えてください!


その悩み、絶対に「放置」してはいけません!


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