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  • 執筆者の写真Miki

心理学で会社を明るく

こんにちは、熊本のカウンセリングルーム「Mental Office ココカラ」です✨


数年前?に流行ったアドラー心理学。

ココカラ では、企業の依頼を受けて社内のコミュニケーションエラーを改善し、社員間の対人トラブルを解決・改善するお仕事も請け負っています。


特に、中小企業などにおける「現場」と「管理者」もしくは「経営者」との間に発生する仕事への目的・目標のズレなどを修復するのですが、上司と部下における健全で発展的なコミュニケーションを考えていると急にアドラー心理学のことを思い出したので、皆さんにもご紹介します。



▶︎ 勇気づけ

アドラー心理学では、相手を「褒める」のではなく「勇気づける」ことを重視します。

ここで言う勇気とは、困難を克服するためのエネルギーのことです。


私たちが困難に遭遇したときに、誰かに責任を押しつけたり、環境のせいにしたりして、正面から問題に向き合おうとしないのは、エネルギーが欠如しているからだとアドラー心理学では考えます。

「褒める」というのは、例えば部下が目標を達成したとき、「よくやった、偉いぞ」とか「すごいじゃないか。たいしたもんだ」と言うことです。


一方、「諦めずに最後まで頑張ったね。私も嬉しいよ」「チームを引っ張ってくれてありがとう」といった声かけは、「勇気づけ」になります。

「褒める」とは、相手が自分の期待を成し遂げたときに、結果を評価し、相手を操作する行為と言えます。部下が目標を達成できなかったときには、上司は部下を褒めません。

「勇気づける」では、結果ではなくプロセスに目を向けます。


ですから、たとえ部下が結果を残せなかったときでも、「今回は残念だったけど、最後まで諦めずに頑張っていたね。」というように、勇気づけることは十分に可能です。

アドラー心理学が「褒めてはいけない」と考えるのは、褒めることで部下を動かそうとすると、部下は常に上司の評価を気にし、褒められるために行動するようになるからです。


育児でも「片付けしたら褒める。」というしつけを続けると、

「褒める人がいないと、片付ける理由がなくなってしまう」という誤学習になります。


褒められないために、そこに解決すべき課題があったとしても、取り組もうとしなくなるのです。

日頃から上司に勇気づけられている部下は、「私は物事を成し遂げるために、最後まで頑張ることができる」といった自己有能感や、「私は自分のことは自分で決めることができている」という自己決定感が育まれます。 すると、上司に評価されるかどうかではなく、自己決定した目標に対して、自分の意思で自らエンジンをかけて(内的動機付け)行動することができるようになります。 その結果、困難を克服し、チームの仲間や顧客に貢献できたら、それがまた大きな喜びとなり、困難に立ち向かうためのエネルギーである勇気がさらに充足されていくのです。




▶︎「叱る」代わりに課題解決に「協力する」

「叱る」ことは、アドラー心理学では「勇気くじき」に他ならないと考えます。 「叱る」とは、相手のやっていることにダメ出しをして、相手を操作しようとすることです。すると、叱られた側の自己有能感や自己決定感が減退します。叱られてばかりいると、勇気がどんどん減っていく…と考えます。

では、叱る代わりにどうすればいいのでしょうか。

「協力しなさい」というのが、アドラー心理学の答えです。

例えば、営業成績が振るわない部下がいた場合、上司が「それじゃダメだ。違うだろう」と叱りながら部下にやらせるのではなく、部下自身がどうやればうまくできるようになるかを自分で考えながら問題に取り組み、それに上司は協力する、というスタイルを取るのです。 基礎的な「協力」とは、以下3つのステップを踏んで行ないます。

第1ステップ「目標の一致」

はじめに行うことは、上司と部下の間での「目標の一致」です。

相手が営業成績の振るわない部下だとすれば、双方が合意できる目標は「営業成績を上げること」になるでしょう。

目標が一致したら、目標達成のための具体的な方法(戦略)は、なるべく部下に任せます。

共にメジャーリーガーとして活躍したイチロー選手と松井秀喜選手のバッティングフォームがまったく違っていたように、目標達成のための最適なアプローチは人により異なります。


上司が自分のやり方を得意分野や価値観の異なる部下に押しつけても、うまくいくわけがありません。


第2ステップ「許可を取る」

目標達成への進捗状況について部下と話したいときには、「例の件について、少し話す時間を作ってもらっていいかな?」というように、必ず部下から許可を取るようにします。


その目標を達成しなくていけないのは部下自身であり、上司はサポートをする立場にすぎませんから、上司と話し合いの時間を持つかどうかも、部下自身に判断させたいからです。


第3ステップ「協力の申し出」

「あなたが目標を達成するために、私に何かできることはありませんか」と、協力を申し出ます。 このときに部下から、「こういう方をご存じだったら紹介してくれませんか」と言われれば紹介してあげればいいし、「こんな場面では、いつもどうされてきましたか」と聞かれれば、自分の経験談を話せばいいでしょう。

大切なのは、要望があったことについてだけ協力することです。


もし部下が「今の段階では、自分一人で頑張ってみます」と言ったなら、任せて見守る。

それも立派な協力です。 そして、結果についても、きちんと部下自身に責任を取らせます。


例えば、「結果が出せなかったら担当から外れてもらう」とあらかじめ部下と合意をしたうえで課題に取り組ませるというのも、責任の取らせ方の一つでしょう。



※「責任は俺が取る」では部下は依存するだけ

世の中では、「自由にやってくれ。責任は俺が取る」と言う上司が良い上司だと思われがちですが、これは間違いです。上司が責任を取ってしまうと、部下が無責任になり、上司に対する依存が生まれるからです。

課題解決の主役は、あくまでも部下自身。部下が自分で課題に取り組み、その結果に対しても自分で責任を取ってもらいます。 ただし、「お前の責任なんだから、お前がやれ」と部下を冷たく突き放すのではなく、部下が目標を達成するための支援は惜しまない態度を取り続けることが重要です。

上司のサポートを得ながらも、目標を達成できた部下は、「自分自身の力で課題を解決できた」という自信を得ます。そして、次に新たな困難に直面したときに、それに立ち向かえるだけの勇気が、部下の中に育まれていきます。




▶︎ 原因分析ではなく解決策に目を向ける

アドラー心理学が「叱ってはいけない」と考えるのは、それが勇気くじきにつながるからですが、上司と部下との関係で、勇気くじきにつながる行為がもう一つあります。 何かトラブルが発生したときに、「問題が起きた原因は何だ?」「担当は誰だ?」「何でこんなミスをしたんだ?」というように、原因探しを行なってしまうことです。


病院などの組織では、よく…いや、必ず見かけられる行為です。


犯人探しと犯人の吊るし上げが始まると、犯人とされた人物は、間違いなく勇気をくじかれます。 機械がトラブルを起こしたときは、その原因を分析することは、改善を図るうえで必要不可欠な行為です。


しかし、人が起こしたトラブルについては、原因を追究することは逆効果でしかありません。犯人とされた人は勇気を失い、以後、失敗を恐れて積極的な行動を取らなくなるからです。 上司が原因追究ばかりしていると、チーム全体が勇気のない組織になるのです。 人に起因するトラブルの原因分析は、上司が自分一人でやれば十分です。


部下と話すときは、「誰がこんなことをしたんだ」という原因分析ではなく、「どうすればこの問題を解決できるか」という解決策にフォーカス(焦点)を当てるようにしましょう。


解決策を考えることには、部下は勇気をくじかれることなく、前向きな気持ちで取り組むことができます。


▶︎ 先回りして教えずに失敗を経験させる

アドラー心理学にもとづいた部下育成の三つ目のポイントは、「教えない」ことです。

これは日本人が最も苦手とすることだと言われています。

子供が公園で少し高めのブランコに乗りたいと言い出したとき、多くの日本人の親は「危ないから止めなさい」と言います。・・・僕もそうですw

一方、欧米の親の多くは、子供が乗りたいと言うのなら、止めることはしません。

ブランコから落ちて泣いてしまうかもしれないけれども、まずはやらせます。その代わり、大怪我をしないように見守ります。

なぜなら、親が子供を過剰に守ることは、子供の勇気の育成を阻害することになるからです。

また、子供は失敗を含めた様々な体験を通じて学び、成長していきます。


これを、アドラー心理学では「結末を体験させる」と言います。 日本人は、家庭で親が子供に対してやっているのと同じことを、職場では上司が部下に対してやってしまいがちです。


部下が失敗しないように、「そのやり方ではうまくいかないから、こうしたほうがいいよ」と、先回りして教えてしまうことです。部下が失敗をすると、自分がダメな上司であるという評価を受けるのが怖いから…かも、しれません。

しかし、人は失敗を通じて成長します。


「自分はこれが良いと思ってやったけれども、失敗してしまった。次はどうすればいいんだろう」と自分で考え、創意工夫を凝らすことで、成長することができるのです。

ですから、事業を傾かせるような大きな失敗は別として、部下が自らやりたいと言い出したことは、どんどんやらせて失敗させればいいのです。


▶︎ チーム全体の信頼関係も築ける

「褒めない」「叱らない」「教えない」教育は、自ら成長していける意思と能力を備えた独立した個人として相手を扱い、また、相手に自立を促す教育であると言えます。


上司がこうした態度で部下に接すれば、部下も上司に心を開いてくれるようになります。


アドラー心理学では、良好な対人関係の4条件として、「尊敬」「信頼」「協力」「目標の一致」を挙げています。


部下を尊敬し、信頼し、目標を一致させたうえで、部下の成功に対して協力を惜しまないという態度を取れば、部下もそれに応えてくれるようになります。


チーム全体が、尊敬と信頼と協力と目標の一致に満ちた組織になっていきます。


そういう意味では、アドラー心理学による部下育成は、単に勇気を持って困難を克服できる部下を育てられるだけではありません。


働く仲間たちを尊敬、信頼し、他者と協力しなから課題解決ができる人材を育てるうえでも、大きな効果を発揮します



EAP(従業員支援プログラム)を導入されていない企業さんは、こういった通常業務では気付きにくいコミュケーションエラーを繰り返していて、知らないうちに社員さんたちの心が離れて行ってしまうんです。


現代社会において、メンタル系に特出した「こころの専門家」を第三者として招くだけで、企業の生産性が大きく向上することは、これまでの文献などでもたくさん実証されています。


あなたの職場は、いかがですか・・・?

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