Miki
強迫とは
こんにちは。熊本のカウンセリングルーム「Mental Officeココカラ」のMikiです。
今日は、一般的には聞きなれない言葉ですが、「強迫」について考えてみたいと思います。
もちろんですが、事件などで耳にする「脅迫」とは全く違いますw
精神科領域の症状のひとつとして扱われる「強迫」についてです。
強迫を伴う代表疾患に「強迫性障害」や「強迫性神経症」と呼ばれるものがあります。
▶ 強迫性障害とは
強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder; OCD)とは不安障害のひとつです。
その病態は、強迫観念と強迫行為に特徴づけられます。
きわめて強い不安感や不快感(強迫観念)をもち、それを打ち消すための行為(強迫行為)
を繰り返すものです。
1.強迫症状とは
強迫性障害の症状を強迫症状といいます。
強迫症状は、前述の「強迫観念」と「強迫行為」の2つがあり、このふたつが存在して初めて強迫障害と診断されます。
2.強迫観念とは
強迫観念とは、きわめて強い不安感や恐怖感のことです。対象物がない不安や、「手が汚れているのではないかと気になって仕方がない」「家の鍵を閉めたか気になって仕方がない」などある特定の対象物に対する不安や恐怖です。
強迫観念は無意味で不適切なのに、頭の中に不安が突如襲ってくるような「侵入的」ないんしょうがあります。また、無視しようとしたり抑制しようとしても、こころから離れない思考や衝動およびイメージなどです。
3.強迫行為とは
迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為です。
たとえば「手を一日に何十回・何百回も洗う」「会社に行く途中に何度も自宅に戻って施錠の確認をする」などです。
普通のひとでも不安感はありますが、この疾患では強迫観念・行為によって日常生活に支障がでてしまいます。
「施錠の確認で何度も家に帰っていたら会社に行けなかった」などがあります。
4.特徴
この疾患の特徴は、自分の行動が不合理だという自覚が患者自身にあることです。
そのため「自分はおかしい」「周囲から変だと思われてしまう」という恐怖から、行動範囲が非常にせまくなってしまうことがあります。
逆に周囲へ依存してしまい、家族や友人などに「大丈夫」「安全だよ」と言ってほしくて、1日に何百回も確認行為を続けてしまうことで、周囲の人が疲弊し、本人が孤立化していくこともめずらしくありません。

▶ 悩める方々へのアドバイス
最近では、強迫性障害に対する有効な治療法がいくつか確立され、個人差はあるものの、
受診に至り治療が継続できた患者さんの多くでは、生活全般における支障の軽減や、社会的適応能力の改善が得られるようになってきました。
一方で、強迫性障害による様々な困難を抱えながら、自宅外に感じる汚染や施錠の心配などから外出もままならず、受診自体が難しいケースも少なからずあるかと思います。
この為、まず家族は、患者が受診に至るよう粘り強く応援していくことが必要であり、治療に対する同意や意思を高めるうえで患者さんと十分に話し合い、心配や希望を伝え、「適切な治療により、良くなる可能性があること」など、前向きで正確な情報を伝えていくことが望まれます。
中には、家族が患者さんの希望通り振る舞うことを強いられ、様々なルールや縛りの中で、不自由な生活に陥っている状況もしばしば見られます。
しかし通常、要求に応えていってもキリがなく、かえって患者さんが「完璧な納得」を突き詰める中で不安焦燥が高じ、意のままにいかなければ時に暴力行為に至ることなどが考えられます。
さらに家族には、長時間拘束され疲労困憊するなど、心身に大きな負担がかかるものとなります。
この場合、まず患者さん自身は、他者を巻き込みコントロールすることが、結局は自分の思うように終結できず、さらに不安焦燥を招く不安定要因となりうることを知ることが重要です。
一方家族は、しばしば患者に対し過度の責任感や罪悪感を抱いており、要求に応えることが患者さんのためと考える傾向があります。
しかし、患者さんの要求がますますエスカレートし(言い方や表情など)、対応できなくなると、これが患者さんの不安や怒りを増幅させるといった悪循環に陥るのです。
この様な巻き込みによる不安増強過程や、要求に応えることの不合理性、非現実性を患者さん、家族双方が理解することが必要です。
ココカラでは、クライアントの自宅まで訪問し、関係性を作ったのちに病院受診まで同行するサービスもおこなっています。
ご家族だけで悩まずに「こころの専門家」を招いて、一緒に取り組むだけでも安心できますね!

☞ 患者さんへのアドバイス
強迫性障害は病気であり、性格や意志の弱さなどではありません。
「自分の為に治す」という決意と目標を持ち、適切な努力を諦めず続ければ、治癒や軽快する可能性は十分あります。
薬物は治療の要であり副作用も一時的で安全性も高いものですが、効果発現にある程度の期間を要するため、自己判断せず規則的服薬を継続しましょう。
治療は長期にわたる場合もあるので、目先の状態に一喜一憂しないで長期的な目標をもって治療にのぞみましょう。
薬物療法と並行して、認知行動療法を取り入れると効果的です。
☞ 家族へのアドバイス
治療を求めかつ継続するように患者を支え励ますことです。
そのためには病気の理解に努め、病気について患者さんを責めないようにすることです。
患者さん本人に対する過度の罪悪感や責任感は無意味で無用です。
継続できる一貫した応援を心がけ、焦らず気長に見守ることです。
症状への巻き込みなど周囲にかかる負担は大きいことを覚悟して、接し方や対処法を主治医に確認すること、などの点が大切です。
本人以上にご家族が悩まれている場合もあります。
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