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  • 執筆者の写真Miki

HSP/HSC (敏感すぎる人たち)について


 日本語では過敏すぎる人、敏感すぎる人、繊細な人、動揺しやすい人、感受性の高い人、などと訳される。元々はアメリカの心理療法家がある特定の人たちについての研究から提唱したものらしいです。

 HSP/HSCは、ちょっとした物音や出来事などに強く反応してしまい、それによって苦痛や問題が生じてしまう人たちを指します。ただ、これは精神医学的な診断ではなく障害や疾患、疾病ではありません。ある特性を表した心理学的な「概念」らしいです。


 なので、私たちの臨床経験でこの「診断名」を直接お目にかかった経験がないです。しかし、類似した「症状」には沢山対応してきた経験があるのも事実です。


▶︎ HSP/HSCの特性

 HSP/HSCには大きく分けて4つの特性があると言われています。そのそれぞれの頭文字をとって「DOES」と提唱者は表現しています。こうした4つの特性はもちろん健常者にもありますが、特にHSP/HSCはこれらが強いと言えます。そして、こうしたことによって非常に苦痛を感じ、時には生きることの困難さを抱えてしまいます。


(1)処理の深さ(Depth of processing)

 HSP/HSCは感覚的な刺激を強く、深く受け取り、処理する傾向があります。そのため、長い時間考えたり、物事を深く掘り下げて考えたり、生真面目に受け取ったりします。


(2)刺激の受けやすさ(Overstimulated)

 人は無意味な刺激や過剰な刺激があると心や意識のフィルターを通過させず、あまり感じないようにします。そして、重要な事柄のみキャッチし、把握します。しかし、HSP/HSCはこうしたフィルターが弱いため、全ての刺激が心の中に入り込んできてしまいます。そのため、一度にたくさんの情報を処理しなければならないので、そのことで疲れてしまったりすることもあります。


(3)情緒的な反応と高い共感性(Emotional reactivity and high Empathy)

 感情や情緒が揺さぶられやすく、強く反応してしまいます。人の考えや気持ちを察知し、同情や共感を強くしてしまい、相手に入り込んでしまいやすくなります。そのため、人との関係に巻き込まれたり、巻き込んだりしてしまい、そのことで人間関係のトラブルに発展してしまうこともあります。反面では、芸術や文化に強く惹かれ、感動することができたりします。また人の傷つきを理解しやすいため、人に対して優しく接したりすることもあります。


(4)些細な刺激に対する感受性(Sensitivity to Subtle stimuli)

 刺激をキャッチする五感の感度が非常に強く、通常であれば知覚できないような感覚をもキャッチしてしまいます。そして、キャッチした感覚を長い時間にわたって保持してしまいます。そのため、大きな音や騒がしいところでは非常に苦痛を感じたり、疲れてしまったりします。人から言われた些細な事柄にひどく傷つき、それを引きづり、後々にわたるまで覚えていたりします。


▶︎ HSP/HSCのチェックリスト

 提唱者が作成したHSP/HSCに関する23項目のチェックリストを紹介します。


  1. 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ。

  2. 他人の気分に左右される。

  3. 痛みにとても敏感である。

  4. 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる。

  5. カフェインに敏感に反応する。

  6. 明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などにに圧倒されやすい。

  7. 豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい。

  8. 騒音に悩まされやすい。

  9. 美術や音楽に深く心動かされる。

  10. とても良心的である。

  11. すぐにびっくりする(仰天する)。

  12. 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう。

  13. 人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)。

  14. 一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ。

  15. ミスをしたり物を忘れたりしないよういつも気をつけている。

  16. 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている。

  17. あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり神経が高ぶる。

  18. 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる。

  19. 生活に変化があると混乱する。

  20. デリケートな香りや味、音、音楽などを好む。

  21. 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している。

  22. 仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる。

  23. 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた。

(参考)ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ(講談社 2000年)


これらの項目のうち12個以上に「はい」と答えるとHSP/HSCである可能性が高いと提唱者は言っています。…が、十分な検証はなされておらず科学的な信頼性や根拠については不十分なところもあるようですので、あまり鵜呑みにされすぎないようご注意ください。

※あくまでも心理的概念であって、障害や疾病の「診断」ではございません。

 ひとつの参考として、捉えるのがいいでしょう。


▶︎ HSP/HSCと混同される他の障害

 HSP/HSCは一つの特性ですが、それと混同しやすい障害や疾患がいくつかありるようで、それらについてご紹介します。これらの他にもあるかもしれませんが、臨床では以下のような診断名でご入院される方が多いように思います。


  1. 発達障害(自閉スペクトラム)

  2. 発達障害(ADHD)

  3. 不安障害

  4. PTSDASD

  5. その他、愛着障害パーソナリティ障害 などが該当するそうです。

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